自動車業界は今、「モノづくり」から「サービスを提供するモビリティ産業」へと大きな転換期を迎えています。SDV(Software Defined Vehicle)の普及やIoT、AI、クラウド技術の進化により、自動車は単なる移動手段ではなく、人・車・サービスをリアルタイムにつなぐデジタルプラットフォームへと進化しています。
その中核となるのがコネクテッドカーシステムです。車両共有サービス、遠隔車両管理、スマートキー、車両データのリアルタイム活用など、次世代モビリティサービスを実現するための重要な基盤として、多くの自動車メーカーや部品メーカーが積極的な投資を進めています。
一方で、コネクテッドカーシステムの構築は決して容易ではありません。車載システム、クラウドインフラ、IoTプラットフォーム、Webシステム、モバイルアプリケーションを高いレベルで統合し、さらに大規模な車両データを安全かつ安定的に処理できるアーキテクチャが求められます。
本記事では、日本を代表する自動車部品メーカーが推進するカーシェアリングシステム開発プロジェクトにおいて、GITSがクラウドおよびバックエンド開発パートナーとして参画した事例をご紹介します。本プロジェクトを通じて、将来のコネクテッドモビリティサービスを支える拡張性の高いクラウドプラットフォームをどのように構築したのか、その取り組みをご紹介します。
お客様の背景
お客様は、日本を代表する自動車部品メーカーの一社であり、長年にわたり自動車向け電子部品や先進技術の研究・開発を行ってきました。
2009年より、自動車業界向けIoTプラットフォームの開発を継続して進めており、その技術基盤を活用してコネクテッドカーシステムの実現に取り組んでいました。近年では、カーシェアリングをはじめとする新たなモビリティサービスへの需要拡大を受け、クラウドを活用したコネクテッドモビリティプラットフォームの構築を重要な経営戦略の一つとして位置付けていました。
こうした取り組みを加速させるため、お客様はクラウドサービス開発、バックエンド開発、Webアプリケーション開発、Androidアプリケーション開発までを一貫して対応できる技術パートナーを必要としていました。
さらに、本プロジェクトは単なるシステム開発ではなく、長期的な自動車R&Dプロジェクトとして推進されることから、高い品質基準を維持しながら継続的に技術支援を提供できるオフショア開発体制も重要な要件となっていました。

技術的な課題
コネクテッドカーシステムでは、車両・クラウド・IoT・モバイルアプリケーション・Webサービスを一つのエコシステムとして連携させる必要があります。そのため、高い可用性、拡張性、セキュリティを兼ね備えたシステムアーキテクチャが不可欠でした。
最初の課題は、車両とクラウド間のリアルタイムデータ連携です。車両から取得した情報をクラウドへ安全かつ高速に送信するとともに、双方向通信を安定して維持する仕組みが求められました。
次に、**一時的な車両利用権限管理(Temporary Owner Management)**の実装です。車両オーナーが家族や友人、カーシェア利用者に対して一定期間のみ利用権限を付与できるよう、柔軟かつ安全なアクセス制御を実現する必要がありました。
また、車両オーナー、家族、友人、カーシェア利用者、販売店、整備工場、配送担当者など、多様なユーザーが一つのシステムを利用するため、複雑な権限管理と業務フローを統合することも重要な課題でした。
さらに、プロジェクトは自動車分野の研究開発プロジェクトとして進められたため、日本企業特有の品質基準や開発プロセスに対応しながら、お客様の開発チームと密接に連携してプロジェクトを推進することが求められました。

ソリューション
GITSは、お客様の自動車R&Dプロジェクトにおいて、クラウド技術とエンタープライズシステム開発に精通した専門エンジニアチームを編成し、オフショア開発パートナーとしてプロジェクトに参画しました。
開発は、詳細設計、実装、品質保証、技術支援までを含む一貫した開発プロセスで進められました。
詳細設計
お客様から提供された基本設計書をもとに、システム全体の詳細設計を実施しました。
バックエンドアーキテクチャ、API設計、データフロー、クラウド構成を明確化することで、開発効率の向上と将来的な保守性・拡張性を確保しました。
コネクテッドカーシステム向けクラウド・バックエンド開発
バックエンドはJavaおよびSpring Frameworkを採用し、ユーザー認証、車両予約、車両管理、スマートキー制御、IoTデータ処理など、カーシェアリングサービスの中核機能を支えるシステムとして構築しました。
クラウド基盤には**Amazon Web Services(AWS)**を採用し、増加する接続車両やデータ量にも柔軟に対応できるスケーラブルな環境を実現しました。
さらに、車両・クラウド・アプリケーション間の安全なデータ連携を実現することで、今後のサービス拡張にも対応可能なクラウドプラットフォームを構築しました。
Web・Androidアプリケーション開発
管理者向けWebシステムにはReactを採用し、車両管理、ユーザー管理、予約状況、メンテナンス情報などを一元管理できる管理画面を開発しました。
また、Androidアプリケーションでは、利用者がスマートフォンから車両予約、車両登録、スマートキー操作、一時利用権限の管理、車両返却などをスムーズに行えるよう設計しました。
Webシステムとモバイルアプリケーションを連携させることで、ユーザーと管理者双方に優れた操作性を提供し、カーシェアリングサービス全体の利便性向上を実現しました。
品質保証・技術支援
高品質なシステムを提供するため、各機能に対して**単体テスト(Unit Test)**を実施し、品質と安定性を徹底的に検証しました。
さらに、開発期間中に発生した技術的課題については、お客様の開発チームと密接に連携し、原因分析、性能改善、技術調査を継続的に実施しました。
このような協業体制により、日本企業が求める品質基準を満たすとともに、長期的な研究開発プロジェクトを安定して支える開発体制を実現しました。

コネクテッドカーシステムの主な機能
本プロジェクトで開発したコネクテッドカーシステムは、カーシェアリングサービスを効率的かつ安全に運用するための包括的な機能を備えています。車両、クラウド、モバイルアプリケーション、Webシステムをシームレスに連携させることで、優れたユーザー体験と運用効率の向上を実現しました。
主な機能は以下のとおりです。
– ユーザー認証・ログイン
– 車両予約管理
– 車両登録・管理
– 家族・友人ユーザー管理
– 一時利用権限(Temporary Owner)管理
– 車両返却管理
– スマートキー管理
– 車両メンテナンス管理
– エリア管理
– レポート・運用管理
これらの機能は単独で動作するのではなく、IoTプラットフォームとクラウドサービスを中心に統合され、リアルタイムで車両情報や利用状況を共有できるアーキテクチャとして設計されています。
その結果、お客様は現在のカーシェアリングサービスだけでなく、将来的なコネクテッドモビリティサービスやデータ活用型サービスへの拡張も見据えた、柔軟性の高いデジタル基盤を構築することができました。
技術スタック
本プロジェクトでは、グローバルの自動車業界で広く採用されているエンタープライズ技術を活用し、高い信頼性と拡張性を兼ね備えたシステムを構築しました。
プログラミング言語
– Java
– C/C++
– HTML
– React
フレームワーク
– Spring Framework
– Android
クラウドプラットフォーム
– Amazon Web Services(AWS)
これらの技術を組み合わせることで、大規模なコネクテッドカープラットフォームに求められるパフォーマンス、保守性、拡張性を実現し、将来的なサービス拡張にも柔軟に対応できる基盤を構築しました。
プロジェクト成果
本プロジェクトを通じて、お客様はクラウドを活用したコネクテッドカーシステムを構築し、次世代モビリティサービスを支えるデジタル基盤を確立しました。
主な成果は以下のとおりです。
– お客様の要件に基づく詳細設計の完了
– Java・Spring Frameworkによるバックエンドシステムの開発
– AWSを活用したクラウドインフラの構築
– ReactによるWeb管理システムの開発
– Androidアプリケーションの開発
– 単体テストによる品質保証の実施
– 自動車R&Dプロジェクト全体を通じた技術支援
– 日本企業とのオフショア開発体制による円滑なプロジェクト推進
本プロジェクトの成果は、システム開発にとどまりません。将来的なコネクテッドモビリティサービスや新たなデジタルビジネスへの展開を支える、拡張性と持続性を兼ね備えたプラットフォームを実現した点に大きな価値があります。

プロジェクト概要
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 業界 | 自動車業界 |
| お客様 | 日本の大手自動車部品メーカー |
| プロジェクト | コネクテッドカーシステム・カーシェアリングシステム開発 |
| 開発体制 | オフショア開発(ODC) |
| 使用技術 | Java、Spring Framework、React、Android、AWS、C/C++ |
| 担当範囲 | 詳細設計、バックエンド開発、クラウドサービス開発、Web開発、Androidアプリ開発、単体テスト、技術調査、R&D支援 |
| プロジェクト期間 | 長期的な自動車R&Dプロジェクト |
GITSがコネクテッドカー開発のパートナーとして選ばれる理由
自動車業界では、SDV(Software Defined Vehicle)の普及やAI・IoT・クラウド技術の進化により、ソフトウェア開発力が企業競争力を左右する重要な要素となっています。その中で、コネクテッドカーシステムの開発には、自動車業界に対する深い理解だけでなく、クラウドアーキテクチャ、IoT、エンタープライズシステム開発に関する高度な技術力が求められます。
GITSは、日本企業との豊富な開発実績を活かし、自動車業界向けの高品質なソフトウェア開発サービスを提供しています。
GITSの主な強みは以下のとおりです。
– コネクテッドカーシステムの設計・開発
– 自動車IoTプラットフォーム構築
– AWSを活用したクラウドアーキテクチャ設計・構築
– エンタープライズ向けバックエンド開発
– Web・Androidアプリケーション開発
– オフショア開発センター(ODC)の運営
– 自動車R&Dプロジェクト支援
– 長期的な保守・運用・技術サポート
また、日本企業との長年にわたる協業を通じて、品質管理、開発プロセス、コミュニケーションにおいて日本企業が求める高い基準を十分に理解しています。
コネクテッドモビリティ、カーシェアリング、車載IoT、さらにはAIを活用した次世代モビリティソリューションまで、GITSはお客様のデジタルトランスフォーメーションを支える信頼できるテクノロジーパートナーとして、価値あるソリューションを提供し続けています。

>>> もっと見る: 生産現場の可視化を実現するIoT導入事例
拡張性の高いクラウド技術でコネクテッドカーシステムの未来を切り拓く
自動車産業は、ハードウェア中心の時代から、ソフトウェアとデータを軸とした新たなモビリティ時代へと大きく変化しています。その変革を支える中核技術がコネクテッドカーシステムであり、車両、クラウド、ユーザー、そしてさまざまなデジタルサービスをシームレスにつなぐ重要な役割を担っています。
本事例では、GITSは日本の大手自動車部品メーカーと連携し、AWSを活用したクラウドインフラ、エンタープライズバックエンド、Web・Androidアプリケーションの開発に加え、自動車R&Dプロジェクト全体にわたる技術支援を提供しました。その結果、お客様はカーシェアリングサービスを支える高品質なプラットフォームを構築するとともに、将来のコネクテッドモビリティやAIを活用したモビリティサービスへと発展可能な基盤を確立しました。
GITSは今後も、自動車業界における豊富な開発経験とクラウド・IoT・AI分野の専門知識を融合し、お客様のデジタルトランスフォーメーションを支援してまいります。次世代モビリティの実現に向けて、持続可能で拡張性の高いソリューションを提供するパートナーとして、新たな価値創造に貢献していきます。



